プレマメッタスクール設立者 ANUP KUMAR
プレマメッタスクールを自ら創設し運営しているANUP KUMAR(アヌープ ・クマール。以下アヌープ)について紹介させていただきます。
プレマメッタスクールの設立
プレマメッタスクールは2006年、アヌープにより設立されました。アヌープはスジャータ村の三男として誕生しました。両親と兄二人、姉一人、弟一人のヒンドゥー教の一般的な農家の家庭です。アヌープが幼少の頃、両親が大病を患い、畑を売り治療費にあてていました。そのような事情によりアヌープは学校に通うことができませんでした。5歳頃、農作業に行く父親について行き、畑で遊んでいると托鉢をしている仏教僧侶がいました。自分の食べていた食事をその僧侶にあげるとお祈りをしてくれたそうです。その後も毎日同じ僧侶に会い、その都度自分の食事をわけました。服も着ていないような小さな男の子が毎日食事を差し出してくることに、その僧侶は感銘しアヌープに僧侶になる素質があると感じ、ブッダガヤの町にあるテーラワーダ仏教の寺院に呼び勉強を教え始めました。
寺院での修業時代
アヌープは、はじめは寺院でもらえる果物や甘いお菓子を楽しみに通いましたが、次第に仏教について興味がわき、6歳頃から親元を離れ仏教寺院での生活をはじめました。その後、師匠と一緒にヒマラヤやネパール等各地で瞑想や仏教の修行をし、不自由のない暮らしをしていましたが、残してきた家族や地元の村人、村の子供たちの事が常に気になっていたそうです。
出家したテーラワーダ仏教のお寺の戒律はとても厳しく、出家後は家族と連絡をとることはできませんでした。今でもそうですがお金を持つことも、携帯電話を持つことも許されません。女性と話すことも、女性がいる場所で寝ることも許されないため修業中は宿をとることはなく、木の下などで寝ていたそうです。誰かが電車のチケットをお布施としてくれたら電車に乗れるがそれ以外は目的地まで裸足で歩き、食事は1日1回、午前11時までに托鉢でもらえたものだけを食べていました。仏教にも興味を持ち、尊敬する師や仲間との寺院での生活は大変でしたが楽しかったそうです。
修業をしている出家僧の多くが裕福な家庭出身であり、家族の心配はないようでした。ですが、アヌープは病気だった両親、家族のことがいつでも気になっていたそうです。
残り半年で修業が終わり、仏教指導者になれるという時に「このまま仏教の指導者になれても、お金を触る事も禁止されている戒律の中では、貧しい人々や自分の家族のためにさえ、何もしてあげる事ができないのではないか。ここを出てまずは両親、家族、身近な人を助けたい。」と、修業をやめて寺院を出る決意をし、師に伝えるとアヌープにお寺を任せようとまでしていた師は最初は反対したそうですが、彼の決意が変わらないので諦めたそうです。
スジャータ村に戻ってから
スジャータ村に戻ると仕事がなく何もしていない大人や物乞いをしている小さな子供の数に衝撃を受けました。
アヌープは「自分は学校へは通えなかったが仏教寺院で各国の人々と会い英語や日本語を聞いて覚えることができた。他にも学んだ事がたくさんある。自分のように小さい頃に教育を受けるチャンスさえあれば未来は変わるはず」そう考えて、身に着けた語学力を活かしガイドの資格をとり、仕事をし、少しずつ学校をはじめる資金をためていきました。
ビニールシートからはじまった学校
2006年、アヌープが17歳の時にプレマメッタスクールはビニールシート1枚からはじまりました。はじめたものの、学校に通ったことがないアヌープは勉強の教え方がわかりません。そこで先生を1人雇うことにしました。その時の先生、ビジャイ先生はいまでもプレマメッタスクールで教師として働いてくれています。
その後もアヌープは、自身は学校の外で仕事をし運営資金つくり、ガイドの仕事を通して知り合った世界中の心優しいサポーターやボランティアの方々の協力も得れるようになりました。そのおかげで、学校の校舎ができ、児童が学びやすい環境へと変化させることができました。今では校舎は増築され校庭、遊具もある学校へと発展しました。
インドでトラスト(日本のNPO)として学校を運営していくのは容易ではありません。インドという土地柄や性質から嫌がらせもたくさん受けてきました。
「こんなことしても誰も感謝してくれるわけじゃないし辞めたら楽なのにと思う時もあるけど、毎朝児童が学校に来て楽しそうに話しているのを聞き、挨拶をしてくれると温かい気持ちになる。だから学校は止められない。」
最後に
数年前にアヌープはその時の高僧とたまたまブッダガヤで再会しました。そして学校を見に来てくれた以前の師は「修業は辞めて寺院から出たけれど、あなたはここで新たな修業をはじめて、自分のお寺(学校)を持ったんだね。」と褒めて頂きました。今では高僧の方も当時一緒にアヌープと修業をしていたお仲間もプレマメッタスクールを応援してくれています。
みなさんの応援に応えられるようこれからも頑張りますので引き続きご支援よろしくお願いします。
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